「定年になったら、ゆっくりしようと思ってたんですけど……なんか急に不安になってきて」
60歳前後の方からよく聞く言葉です。いざ定年が近づくと、時間ができる嬉しさより「収入がなくなる怖さ」の方が先に来る方が多い。でも今は、定年後の働き方の選択肢はずいぶん広がっています。
「働き続けること」はお金だけの話じゃない
定年後も働くメリットとして真っ先に思い浮かぶのは収入面ですが、実はそれと同じくらい大切なのが社会とのつながりです。
仕事を通じて人と関わり、役割を持ち、日常にリズムが生まれる。研究でも、働き続けているシニアの方が健康寿命が長い傾向があると示されています。「お金のためだけじゃなく、自分のために働く」という感覚で定年後のキャリアを考えてみてください。
再雇用制度——まず手近な選択肢として
多くの企業では、定年後も同じ会社で働き続けられる「再雇用制度」があります。慣れた職場・仲間と続けて働けるのは大きな安心感です。
ただし、給与は現役時代より下がることがほとんど。ここで確認しておきたいのが、再雇用後の給与と年金・雇用保険の組み合わせです。給与額によっては年金が一部停止される「在職老齢年金」の仕組みが適用されるケースもあります。「思っていたより手取りが少なかった」とならないよう、事前に試算しておくことをおすすめします。
再就職・転職——経験を別の場所で活かす
現職以外の職場に移る選択肢もあります。長年培ってきた専門知識やマネジメント経験は、中小企業や非営利団体などで重宝されることが多い。「自分のスキルは通用しない」と思い込んでいる方ほど、動いてみると意外な需要があったりします。
ハローワークのシニア向けコーナーや、シニア専門の転職支援サービスを活用してみてください。無料で使えるものも多くあります。
起業・フリーランス——自分のペースで働く
定年を機に「ずっとやってみたかったことをやる」と、起業やフリーランスに挑戦する方も増えています。自分のペースで仕事ができる自由度は大きな魅力です。
ただし、収入が不安定になりやすいのがリスク。起業前には最低限の生活費を何ヶ月分確保できるかを必ず確認した上で進めてください。「やりたい気持ち」と「数字の見通し」の両方を持って臨むことが大切です。FPに収支計画を一緒に見てもらうのも有効です。
どの選択肢も「早めに考え始める」ほど有利
定年後の働き方は、定年直前に考え始めるより、50代のうちから意識しておく方が選択肢が広がります。「まだ先の話」と思わず、今の仕事をしながら少しずつ情報収集を始めてみてください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の金融・税務・法律アドバイスではありません。詳細は税理士・弁護士・FP等の専門家にご相談ください。税制・制度は改正される場合があります。
